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siki の東京時代

siki として、お店をオープンしたのは、2020年4月7日。

東京で、最初の非常事態宣言が発令された日でした。

お店のオープン準備は、前年の年末頃から進めていて、三男の保育園入園と慣らし保育のタイミングを考慮しながら、事前に決めていた日程だったのですが、偶然にも世間がガラッと変わった日と重なりました。

慌ただしくオープンしたので、実はあまり記憶がないのですが…

普段の道が、散歩される方でたくさん!
近所の公園も、人でたくさん!

みんなどこで買い物したら良いのか、これからの生活がどうなるのか、いろいろな感情が街中を行き交っていたような気がします。

そんな中、お店をオープンすることに、あまり迷いはありませんでした。

食品を扱うということ、路面に面した住宅街の小さな個人商店であることから、みなさんに必要とされるのでは?と思ったのです。

時にはお客さまが店先で自転車に乗ったまま、素早く商品をお渡ししたことも。

みんなが不安な中、少しでもマスク越しに会話を交わすことは、私にとっても本当に救いでした。

幸い、ご近所の方々が散歩途中にお店を覗いてくださったので、店先のポスターと口コミで、少しずつ地域の方にご利用いただけるようになりました。

みなさんも遠出しにくい状況だったこともあり、目指していた地域密着型の姿が、少しずつ形になっていったように思います。

そう、地域の方に日常的にご利用いただきたかったのです。
一昔前の、個人商店のような、あったかい空間をつくりたかった。

お隣が、地域では人気の鶏肉屋さんだったことも、とても大きかった。

ご家族で経営されている、お客さま想いの本当にあったかいお店で、多くのことを学びました。

最後、閉店する時も、店主のおとうさんが、寂しくなるなぁ〜としみじみされた時は、グッとこみ上げるものがありました(今思い出してもグッとくる〜)。

他にも、当店の少し後にオープンした素敵なコーヒー屋さんも、お互いに行き来して、たわいのない話をしたり、色々と助けてもらったり。
コーヒー飲んでたら、お客さまにバッタリして、お話したりも。

お向かいのクリーニング屋さんは、朝は今日もがんばろっ!って励まし合い、帰る時に手を振って挨拶を交わし、こちらも閉店する時は、さみしー!と。

もちろん、馴染みのお客さまもみんなあったかい方ばかり。
天気が悪くて野菜が余りそうな時は、レスキュー発信をすると、あったかい反応がたくさん。

遠くてなかなかご来店が難しい方も、SNSを通じて応援いただいたり、通販で購入いただいたり、本当に救われました。

渋谷にも自転車で行けちゃうような、東京の真ん中でも、こんな地域の交流があったのです。

本当に心地よい2年間でした。

野菜の量り売りもだいぶ定着して、まだまだこれから!という時でしたが、信濃町でのご縁があり、こどもたちの環境を優先して、移住を決めました。

お店とお客さまの関係性、
お店とお店の関係性、
商店会としての関係性…

本当に多くのことを経験させてくれた、siki 東京時代。

この出発点を心に留めて、みなさんと共に、長野で新たなsiki をつくっていきたいと思います。

東京のみなさん、これからもよろしくお願いしますね。

そして、長野のみなさん(近い新潟も)、これからのsiki を、どうぞよろしくお願いいたします!